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5つの指標で見る「米国株はいま何が高いのか」 第3回:バフェット指数が示す“経済実態からの乖離”

個人投資マン
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PERやシラーPERは企業視点。 じゃあ、経済全体から見たらどうなのか。 それを測るのがバフェット指数です。


このシリーズの位置づけ

米国株が「高い」と言われる理由を、 5つの異なる指標から順番に検証しています。

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バフェット指数とは何か

バフェット指数とは、 株式市場全体の時価総額 ÷ 名目GDP で算出される、非常にマクロな指標です。

ウォーレン・バフェットが 「株式市場が割高かどうかを見る最もシンプルな方法」 として言及したことで知られています。

バフェット指数のポイント

  • 企業単体ではなく「経済全体」を基準にする
  • 利益ではなく「経済規模」と比較する
  • 株価が実体経済から乖離していないかを見る

PERやシラーPERが 「企業の稼ぐ力」を見る指標だとすれば、 バフェット指数は 「経済の大きさに対して株価が大きすぎないか」 を見る指標です。


現在の米国バフェット指数はどの水準か

現在の米国株式市場のバフェット指数は、 約190%前後とされています。

これは、 米国の経済規模(GDP)の約2倍近い評価を株式市場が受けている という状態です。

  • 適正水準:100%前後
  • 過熱警戒ライン:130%超
  • ITバブル期(2000年):約150%
  • コロナ後ピーク:約200%超
  • 現在:約190%

ITバブル期を大きく超え、 歴史的にもかなり極端な水準です。

個人投資マン
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この水準が意味する「暗黙の前提」

バフェット指数が190%を超えるということは、 市場が次の前提を同時に織り込んでいることを意味します。

現在織り込まれている前提

  • 企業利益がGDP成長率を長期で上回り続ける
  • グローバル化・AIが永続的に利益率を押し上げる
  • 金利は将来的に安定または低下する

言い換えると、 「成長も金利も全部うまくいく」 という、かなり楽観的なシナリオが前提になっています。


成長と金利で見る「妥当レンジ」

バフェット指数の割高・割安は、 絶対的なものではありません。

将来の 経済成長率金利水準 によって、妥当なレンジは変わります。

  • 高成長 × 低金利:150%超も正当化されやすい
  • 低成長 × 高金利:100%付近へ回帰圧力

現在の190%という水準は、 「高成長」と「低金利」が同時に続くことを前提にしている。


まとめ:バフェット指数が示す米国株の現在地

バフェット指数という視点で見ると、 現在の米国株は経済実態から大きく乖離した水準にあります。

これは「今すぐ崩れる」という意味ではありません。

ただし、 今後10年の期待リターンが高くない出発点 であることは、かなり明確です。

個人投資マン
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米国株が悪いわけじゃない。 「経済規模に対して、評価が行き過ぎている」 それがバフェット指数の示す結論です。

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