米国株が強いのは事実。 でも、ずっと勝ち続ける前提でいいのか。 そこを一度、冷静に考えてみたい。
ここまでの連載では、 PER・シラーPER・バフェット指数という3つの指標から、 米国株が「かなり高い前提」を織り込んでいることを確認してきました。
では次の疑問。 「じゃあ、どこに相対的なチャンスがあるのか?」
今回はその答えとして、 日本株・欧州株・新興国株が有利になりやすい理由を整理します。
大前提:これは「米国株否定」の話ではない
この記事は、 米国株を売れ、という話ではありません。
「出発点が高い市場」と 「出発点が低い市場」 の差を意識しようという話です。
① 日本株が相対的に有利な理由
日本株の強みは、 「マクロ環境の変化」と「企業行動の変化」が同時に起きている点です。
特に重要なのは、 「企業が変わり始めている」という点です。
自社株買い、配当増、ROE改善。 これは一時的なブームではなく、 構造的な変化として続く可能性があります。
注目しやすいセクター例
- 機械・製造業(グローバル展開+円安)
- 金融(金利正常化+株主還元)
- 商社(資源・インフラ・配当)
- 内需関連(賃上げ・消費回復)
② 欧州株が相対的に有利な理由
欧州株は長年、 「成長しない」「地味」 という理由で割引かれてきました。
しかし、その分 バリュエーションの低さが武器になります。
欧州株は、 「成長期待」ではなく「割安修正」でリターンを狙う市場です。
注目しやすいセクター例
- 資本財・インフラ関連
- エネルギー(再生可能・転換期)
- 金融・保険
- ラグジュアリー・ブランド
③ 新興国株が相対的に有利な理由
新興国株の最大の強みは、 成長率そのものです。
人口動態・インフラ投資・内需拡大。 これは先進国にはない要素です。
注目されやすい地域・テーマ
- インド(内需+IT+人口)
- ASEAN(製造業移転)
- 中南米(資源・インフラ)
- 新興国消費・金融
もちろんリスクはあります。 政治・通貨・ガバナンス。
だからこそ、 「相対的に有利」 「分散の一部として持つ」 という位置づけが重要です。
まとめ:相対優位を取りにいく時代
これからの10年は、 「どこが一番強いか」ではなく 「どこが相対的に有利か」 を考える時代になる可能性があります。
米国株は強い。 でも、出発点は高い。
日本株・欧州株・新興国株は、 出発点が低く、改善余地がある。
全部を当てる必要はない。 でも、相対的に有利な場所に立っておく。 それだけで、長期の確率はかなり変わる。