オルカンを積み立てているけれど、S&P500の方が気になる。NASDAQ関連の記事を見て、商品を変えたくなった。そんなとき、最初に「今ある投信を売るか」を決める必要はありません。
これから買う商品を変えることと、既に持つ商品を売ることは別の操作です。まず、何を変えたいのかを「投資先」「今後の買付け」「保有残高」の3つに分けましょう。
オルカン・S&P500・NASDAQ100は、同じ範囲を買う商品ではない
| 比較する指数・呼び方 | 主に何を持つか | 変更時に見たい点 |
|---|---|---|
| 全世界株式(MSCI ACWIを使う商品の例) | 先進国・新興国の大型・中型株 | 米国以外にも持つ目的を残すか |
| S&P500 | 米国の主要な大型企業 | 全世界から米国への集中を高める意図があるか |
| NASDAQ100 | NASDAQ市場に上場する大手の非金融企業 | 市場・業種・大型企業への偏りを受け入れるか |
指数の定義はMSCI ACWI、S&P 500、Nasdaq-100の公式解説で確認できます。「NASDAQ」は市場名でもあり、NASDAQ総合指数とNASDAQ100は別です。商品の正式名称と対象指数を確かめて比較します。
全世界株式の中には米国株が含まれ、S&P500とNASDAQ100にも重なる企業があります。3本に増やしたから、3方向へ均等に分散できるわけではありません。

全世界株式に米国株を足すと、比率はどう変わる?
計算用に、全世界株式投信100万円の米国比率を60%と仮定します。ここへ米国株100%の投信を50万円追加すると、米国部分は60万円+50万円=110万円。全体150万円の約73.3%になります。
| 全世界株式100万円の米国比率の仮定 | 追加前の米国部分 | 米国株投信50万円追加後の米国比率 |
|---|---|---|
| 60% | 60万円 | 110万円÷150万円=約73.3% |
| 70% | 70万円 | 120万円÷150万円=80% |
この追加は、商品数を増やしながら米国への集中を強める操作です。それを狙うなら方針の変更として記録できます。「分散のために2本へ増やしたつもり」なら、目的と手段がずれていないか見直します。
変更方法は、売却以外にも2つある
| 方法 | 既存商品はどうなる? | 注意すること |
|---|---|---|
| ① 今後の積立先だけ変更 | そのまま保有 | 残高の比率は徐々にしか変わらない |
| ② 新規資金を配分して調整 | 売らずに、新しい買付けで近づける | 追加額が小さいと調整に時間がかかる |
| ③ 既存商品を売却して買い直す | 残高を直接変える | 売買の価格差、資金の受渡し、NISA枠を確認 |
元の商品を保有する理由は残っているが、今後の配分だけ変えたいなら①や②から検討できます。元の商品が目的に合わなくなった、想定以上の集中を早く減らしたい場合は③も候補です。「最近ほかの商品の方が上がった」だけなら、比較する期間を変えても同じ判断になるか一度確認します。
NISAで売却するときは、2種類の枠を混同しない
2024年以降のNISAで取得額100万円、現在の評価額130万円の商品を全て売ったとします。翌年以降に再利用できる総枠は130万円ではなく100万円です。さらに、当年の年間投資枠がその場で100万円戻るわけではありません。金融庁のNISA説明で再利用の仕組みを確認できます。
売ったお金があるのに、同額をNISAで買えない例
成長投資枠の当年残枠が20万円しかなければ、130万円を売却しても、当年の成長投資枠で新たに購入できるのは原則として残枠20万円の範囲です。総枠や発注済み注文など、ほかの制約にも従います。売却代金と買付枠は別々に確認します。
金融商品ごとに売却から入金までの日数も違います。売却と買付けが同じ価格になるとは限らず、資金を待つ間に相場が動くこともあります。購入画面へ進む前に、残枠、買付資金、受渡日を並べて確認します。
変更する理由を、1枚のメモにする
- 変えたい理由:直近の成績ではなく、投資先・費用・目的のどこが合わないのか
- 変更後の配分:米国・全世界・その他を何%にするか。重複も含めて計算
- 採る方法:積立先のみ/新規資金で調整/売却して買い直し
- NISAの制約:今年の残枠、翌年の総枠再利用、売却代金の受渡し
- 見直す条件:目的の変更、商品条件の変更、設定した比率からのずれ
積立先を変更したら、旧設定が停止できているか、新設定の初回買付日と金額が意図どおりかを確認します。保有画面に旧商品が残っていても、それ自体は変更失敗ではありません。何を残し何を変えるかを書いておくと、次に別の商品が人気になったときにも判断をやり直せます。
制度・参照情報は2026年9月8日確認。本文の試算は条件を置いた例で、筆者の運用実績や将来の利益を示すものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。
変更の理由と配分を整理するときは、ポートフォリオ方針を見直すタイミングと計算例を使えます。決めた理由を残す方法は、売買判断の記録テンプレートも確認してください。