究極の問いみたいな感じで、「カレー味のうんこ」か「うんこ味のカレー」かと同じ毛色をしている問題ですね、
持ち家か賃貸、どちらがいいの?というものです。
何となくしらべた時に、一般人からすると本質的ではない議論がされていると思ったので個人的見解を書いてみます。ご参考になればと思います。
我が家の家計状況
前提として、家計状況の整理です。
- 共働き
- 世帯年収1300万円
- ペットあり
- 車2台
- 持ち家
- 4歳の子供
こんな感じです。
この記事が当てはまる人
この記事は、私と近い状況にある人に対しての記事ですから、概ね以下に該当する人が当てはまってくると思います。
- 世帯年収一千万円超え
- 現在27才から35才くらい
個人的結論
- 若いうちは安い一戸建て(または賃貸)。間違っても5000万円とかのは手を出さない。
- 55歳くらいになり、「老後」というものが現実味を帯びてきたところで終の住処となる拘りの一戸建てを購入を検討開始。
多分これが私を含む多くの一般人にとっての現実的な回答になると思います。持ち家派は家を2軒買いましょう。
3,40才で拘りの一軒家やタワマンを買うのはヤバいけど、55歳くらいになったら買った方がいい。
です。これは投資性とかそんな観点ではなく、人生全体を考えたときの結論です。
計画的に投資をしていれば、持ち家だろうが賃貸だろうが30年後の差はほとんどないです。
逆に言うと投資が前提になりますから「今の家賃支払いがキツくて、貯金や投資に回す余裕がない」と言う人は家は買わない方がいいです。
老後の本当に家を買わないといけないようなタイミングでお金がなくて動けなくなります。収入をあげる方が先決です。
55歳くらいで家を買うこと目指して投資をはじめられるように資産形成を開始しましょう。
「持ち家か賃貸か」の論点
よくある論点は、ざっくり言うと以下に集約されます。
持ち家派の意見
- 賃貸は他人の持ち物に金を払っているだけ。家賃は無駄。
- 持ち家は自分の資産になる。
- 老後は賃貸は借りづらくなる。
賃貸派の意見
- 家なんて価値が下がるんだから、投資として最低中の最低。特に新築は「新築プレミアム」が乗っていて適正価格ではない。
- 賃貸にしておけば家族が増えたり、人生の状況が変わった時に対応しやすい。
- ローンの金利負担はアホらしい。
だいたいこんな感じですよね。ただ、これどちらも間違っていると思ってるんです。
なぜなら、上記の論点は家について「投資性」の観点が色濃く出ているからです。
国民の大多数を占める、いわゆる「普通の」サラリーマン家庭においては家についての投資性っていうのはあまり重要ではないですし、不動産素人がそんなの予測して買うのなんてほぼ無理です。
例えば、新宿駅徒歩5分とかにある新築タワマンなんて買えれば、そりゃあ今後の値下がりは低く抑えられ資産としての価値を維持できるでしょう。
でも落ち着いて考えればすぐにわかるのですが、そういうところにある建物ってそもそもの価格がぶっ飛んでます。2LDKで7000万円〜みたいなのがザラです。
7000万円を35年ローンで組むと、ざっくりですが月の支払額は30万円近くになります。いやキツくないですか?普通に考えて。
今回のコロナ禍のような急激な不景気に見舞われたらどうなるんでしょうか。
賃貸派の「状況に合わせて柔軟に対応できる」っていのも怪しいです。その「状況」ってそんなに頻繁に変わりますか?今はローンも超低金利ですし。
もちろん転勤族みたいな人は変わるでしょうけど、そう言った職の人はそもそもこの議論に参加してきません。賃貸一択でわかりきってるからです。
あくまで経験上ですが、この意見をいう人に限って、特に何の状況の変化も起こらずに長い年月を過ごし、気が向いた時に何となく引っ越すみたいな人が多いです。
上記議論の致命的な欠陥
一般家庭で考えた時、上記の議論はどちらも致命的欠陥があるように思えます。それは、
持ち家派意見の欠陥
- 一軒家は終の住処であると思っている
- 家には価値があると思っている
賃貸派意見の欠陥
- 人生の状況は大きく変わると思っている
- ローン金利は高いと思っている
- 一軒家の快適性を無視している。
これはどちらも昭和的な価値観を基準に語られているような気がしてならないのです。
昭和〜平成頃の不動産事情といえば、まさに土地バブルの頃です。1990年当たりでしょうか。
この頃経済成長の終盤に差し掛かっており、家を買って翌日には値段が上がっているみたいな状況もあったと聞きます。また、金利は4%や6%など、今の10倍近くで設定されており、3000万円の借入に対して6000万円払うみたいな状況がザラでした。
で、ご存知の通りこの頃にバブルが弾けて、不動産を高値掴みした人は下落に巻き込まれて大きな資産的ダメージ。
こんな経験をした人たちに語らせれば、一軒家は価値の上がるべき資産ということになりますし、痛手を被った人たちからすれば一軒家を買うのは馬鹿気ている。
みたいな考えになるのはよく理解できます。
日本は変わった
当たり前ですが、バブルが弾けて以降の日本は大きく変わりました。核家族が増えましたし給与水準は実質的には低下しています。教育費や税金は上がる一方、家を買うためのローン金利は低下の一途をたどっています。健康状態はさておき、寿命も大きく伸びています。
特にここでは、寿命と金利の面で語ると我々一般人はイメージがしやすいと思います。
人口の遷移
今後の日本は人口が減少していきます。つまり、家を必要とする人が減っていくわけですから、家の価値が上がるなんてことは都市部の極一部を除いてはほぼ起こらないといえます。
つまり、家は資産にはなりません。
一般人が資産としても価値のある家を見つけるのは至難の業といえそうです。
平均寿命の遷移
引用します。以下の通り緩やかに右肩上がりです。1970年頃と比べると15年くらい寿命が伸びたということになります。
https://datacommons.org/place/country/JPN?utm_medium=explore&mprop=lifeExpectancy&popt=Person&hl=ja
寿命が伸びたことによる大問題−1
ここで絶望的なのは、昨今は「人生100年時代」と言われ、我々世代は100才まで生きることが予想されている点でしょう。
つまり、今「終の住処」を買ったとすると、100才になる頃には築70年とかですよ。
築70年といえば、今でいえば戦後に建てられた家と同じくらいでしょうか。住めますかね?その家。
今の家は丈夫だからとかそういう次元ではない技術革新が発生してますよ。その頃には。
しかも、2018年時点で84歳となっているんですが、我々が80才になる頃は余裕で100才とかまで伸びてるんじゃないでしょうか。下手すりゃ120才です。
寿命が伸びたことによる大問題−2
自分が歳をとったときのことを想像できますか?という話です。
つまり、どれくらい体にガタが来ているか予想できますか?ということです。
今買おうとしている家は2階建てではないですか?人によっては拘って3階建てにしようとしているかもしれません。
それ、70才にになっても階段登れますか?もう少し言うと、70,80才になった時のことを考えて家の設計をしていますか?
しないですよね。したとしても「子供ができたらこの部屋を子供部屋に」とかじゃないでしょうか。
と言うことで、30才前後の人に当てはめると持ち家の人たちの意見である「一軒家は終の住処」と言うのは、寿命はあまりにも長くなってしまったといえそうです。
一軒家だろうがタワマンだろうが同じことですね。
金利の遷移
こちらはあまり多くは語らないのですが、バブル期においての金利は6%〜7%なんてやばい水準です。
これは3500万円を35年ローンで借りた場合、総返済額は8000万円になります。恐ろしい事態です。こんなことになってしまうのであれば、確かに家は買わない方が良さそうです。
しかし今や超低金利時代に突入し、店頭金利は2%程になり実質金利は0.5%~1.5%くらいです。
間をとって1%で計算すると、3500万円を35年ローンで借りた場合は4100万円です。金利はかなり圧縮されました。更に優遇金利や10年変動にすれば0.5%が見えてきます。
しかも現在の国の制度が超低金利時代に追いついておらず、借入額に対して1%の還付が受けられます。つまり、こちらも10年限定ですが、国から0.5%分のお小遣いがもらえるような計算になります。
※現在この制度の見直しが行われようとしています。
10年間限定ですが金利についてはそんなに気にしなくて良さそうです。
こうなってきた場合、一軒家の快適性を考慮すれば、金利を理由に持ち家を敬遠する理由は薄まりそうですね。
まとめ
こうして考えると、30才前後で買う家については、金利状況なども踏まえて以下のことが言えそうです。
- 現在の平均寿命からすると、30才は若すぎて「終の住処」と言うには早すぎる
- 家は資産にはなりえない
- 金利は圧倒的に低いので、特に最初の10年間は国の優遇措置も考慮するとほぼ無視できる
と言う状況の時、本当に考えるのは以下の観点ではないでしょうか。
- (もし家を買うなら)若いうちは安い家を選択する。借入は2000万円くらいが理想。
例えば、0.5%なら当初10年間は月の返済額が5.5万円になります。ファミリーではこの程度の金額ならアパートの家賃より大抵の場合安くなると思います。
返済額が低いので、余剰資金は積極的に投資に回しましょう。で、あるタイミングで繰上げ返済すればいいでしょう。 - 子供が巣立ち、年老いてからの方が人生は長いので、拘りの家を立てるなら60才前後がいい。そこまでは安いアパートや安い家で過ごし、資産形成に励みましょう。
たまに7000万円とかのタワマンを買って後悔なんて記事を目にしますが、7000万円を借りると月の返済額は20万円に迫ります。やばくないですか?
例えば、上の例では返済額が5.5万円と20万円で、その差額は15万円ほどです。この差額をまるまる投資として積み立てた場合、20年で以下のようになります。
6100万円程になりました。ここまできたら、20年目で一括返済をしたとしても5000万円くらいあまりそうですね。
この5000万円で終の住処となる拘りの家を建てるのが現実的じゃないですか?と言うお話でした。
家賃が5万〜10万円くらいの間であれば、この通り計画的に投資を行うことで「持ち家だろうが賃貸だろうが変わらない」と言う状況になります。
なぜならば、家賃と同額で家を持った場合においては、投資に回せる金額に差は生じないためです。
※積み立て額が5万円の場合、20年後の資産は2000万円になります。35年後は5600万円までいきます。
ざっくりとした例:収入10万円の場合で、家賃が8万円なら余剰金は2万円です。ローン返済額が8万円であれば結局余剰金は2万円となり、賃貸でも持ち家でも投資可能額は変わらない。
金利が1.0%で35年ローンの場合、2500万円の家が買えます。月の支払額は8万円くらいです。
本当に大事なことは、家を買うのであれば若いうちは拘らずに安価な家を検討する方が、変に拘ったり資産性を求めて高い家を買うよりも健全そうです。
50才を過ぎた頃には、加齢による成熟とともに無意味な見栄もなくなっているでしょうから、地に足をつけていい家が作れるのではないでしょうか。
私は次の家は老後に備えて完全バリアフリーの平家にするつもりです。
ちなみに
老後資金については上記の投資とは別に貯める必要があります。しかし、あまり問題はないと考えています。
今家を買ってしまうにしろ、買わないにしろ、まだまだ時間は十分にあります。
先の通り投資をしていれば、1軒目のローンは問題なく返却できます。そこからはローンなしなので更に積み立ての増額ができるでしょう。
ですので、今の家賃支払いがキツい(貯金ができない)人は家を買うべきではないと言うことになりますね。投資に回す分がないと、この話は成り立たないからです。