読んだら書く

一般人がアクティブ投資をしてはいけない理由

自分の読んだ本を、後々振り返るためにまとめた記事です。

今回は個人投資家向け(というわけではないのですが、インデックスファンドの重要性を説いています)の聖典である「敗者のゲーム」です。

個人が投資を行うにあたって、どのように考え・振る舞うべきなのかをたった130Pほどで書いてくれています。(ページ数はご参考程度)
これが2000円弱というのは今まで読んだ本の中でトップクラスに有用な本でした。

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どんな本なの?

個人が投資を始めようとした時に具体的に何をどのように購入すべきかということを、過去数十年の値動きをベースに論理的に説明してくれている本です。

「アクティブファンドはやめてインデックスファンドに投資せよ」の原典的な本です。アクティブ運用が如何に資産形成・資産運用に向いていないかということを書いています。

個人が行える投資というのは、大抵は少額であり市場に与える影響は非常に限定的なものになります。
例えば、我々が100万円をせっせと運用している間に、巨大なファンドなどは数百億円を運用しています。
これはつまり、市場そのものは巨大なファンドが支配していると言えます。
※100万円の売買をしても市場は微動だにしませんが、数百億の売買が行われれば市場は大きな影響を受けます。
我々一般の投資家の成績は、巨大なファンドの振る舞いに振り回されることになり、個人がチャートに張り付いてタイミング売買(アクティブ運用)を行うのはあまり得策ではない。ということを説いてくれます。
つまり、我々投資家は巨大なファンド同士が競い合っている市場の値動きに敏感になることなく、着々と積み立て投資を行なっていけば良いということを教えてくれます。

この本が提示してくれているのは、

アクティブファンドの成績は長期的にはインデックスファンドの成績に勝つ事ができないという事実

です。

投資の世界は〇〇サムゲーム??

投資の世界には〇〇サムゲームという言葉があります。投資額の総和と全額払い戻した時の総和を比較して「増えた・変わらない・減った」かにより以下に分かれます。

プラスサムゲーム

リターンの総和が増えている場合です。
例えば100円のものを買って10ポイントついたとすれば、110円分の価値を手にれたという事になります。
1万円分の株を買って長期保有した結果、10%上がった時に売ればこれもプラスです。

ゼロサムゲーム

リターンの総和が変わっていない場合です。胴元の居ない身内内での賭け事などがわかりやすいです。
ガリガリくんを景品にトランプなどで勝負し、負けた方が買った方にプレゼントするというような場合、敗者も勝者も受け取るのはガリガリくん1本です。
胴元に手数料などをとられることはありません。

マイナスサムゲーム

リターンの総和が減っていく状態です。
分かりやすいのは宝くじです。数百億の資金を顧客から集め、その中から運営費や税金・寄付金を支払い、残った数億円を当選金として払い出します。大幅にリターンが減っています。
また、カジノなども参加費や手数料といった名目で抜かれていきますからマイナスサムゲームです。
(これらは勝った人からすればプラスに見えますが、参加者全員が払った額と参加者全員に戻った額を比較するので、やはりマイナスです)


では、投資の世界は何に該当するのでしょうか?

アクティブ運用はゼロサムまたはマイナスサムと言っています。その理由は「アクティブ運用は米国市場だけでも何千億ドルもの手数料を支払っているから」というように書かれています。
アクティブ運用はその積極的な売買が仇となり、巨額の手数料が取引所に支払われています。巨額の投資で得られた利益は同様に巨額の手数料で目減りしてしまうという事ですね。

つまり、如何に優秀なファンドマネージャーがいるファンドでも、結局は手数料に圧迫されてしまうので、売買の少ないインデックスファンドに勝つには更に大きなリターンを得ないといけないので、最早勝つことは難しいのです。

「敗者のゲーム」とは?

「敗者のゲーム」とは個人投資家が株式市場で陥りがちな失敗をわかりやすく例えてくれた言葉です。対義語は「勝者のゲーム」としています。
※この2つは別の著書で使われた言葉です。それを投資の世界に持ち込んだのが本書です。

これをテニスでわかりやすく例えてくれています。

プロの試合=勝者のゲーム

プロの試合では、最終的な勝者は勝者の行動によって決まります。
どちらがより長いラリーを制し、最後に素晴らしいショットを決めたかで勝敗が決定します。
通常のラリー内ではプロがミスをすることはほとんどありませんし、サーブのダブルフォルトによる失点も非常に稀です。

長いラリーをしていく中で、相手の隙や意表をついて強力なコースにショットを決めて相手の手が届かないエリアに打ち込む必要があり、これは勝者の行動の結果得られる得点です。

素人の試合=敗者のゲーム

素人のテニスの試合は、劇的な素晴らしいショットや誰もが唸るようなスーパープレイによって得点を重ねるものではありません。

大抵の場合、相手のミスショットで得点が積み上げられていきます。

厳しいコースにショットを決めるということはなく、普通に相手の手が届くところに打ってしまったショットだとしても、相手がミスショットをすることで得点に繋がります。
要は相手が勝手にミスをしていくのです。

素人の試合では強力なショットを決める必要はなく、如何に自分がミスをせずに平凡なラリーを続け、相手がミスをするまで耐え忍ぶ事必要があり、これは相手のミスの結果得られる得点であり、試合の勝敗は敗者が決めています。

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戦争は「敗者のゲーム」

同じように戦争を考えれば、これは敗者のゲームだということがわかります。※戦争自体の是非や責任を問うものではありませんし、ここに書けるほど単純なものではありません
かつて日本が経験した戦争を例に考えてみても、

  • 日本の上層部は戦力差を適切に把握していた
  • 最初は日本有利で進んでいた
  • 中盤からは意思決定を誤り敗北を重ねた
  • 選択の誤りを正せないまま終戦まで被害を出し続けた

これは、当初アメリカと日本の国力を把握して短期決戦などを提唱していたいにもかかわらず、諸々の事態が重なって無茶な作戦などを立てて自爆してしまうことが増えて以降、戦略的な誤りをし続けた日本が敗北しました。

ドイツも当初圧倒的な戦力でヨーロッパを掌握しかけましたが、ロシアに侵攻するという悪手を取った結果敗戦に突き進みました。

これも一時的な窮状を耐え忍び、相手が勝手に悪手を選択した結果反撃する事ができたという点で敗者のゲーム(戦略的ミスをした方が負ける)と言えます。

投資における敗者のゲームとは

これらを個人投資の世界に当てはめると、アクティブファンドの巨額を取り扱う世界と個人の少額を取り扱う世界で以下のように分かれると書かれています。

アクティブファンドによる敗者のゲーム

電子取引の発達により、有用な情報は一瞬で世界中のファンドマネージャーの手に入るようになっています。
各国資本の増大により取り扱う金額も右肩上がりで増大しています。

そんな状況で「他のファンドよりも優秀な成績をあげようとするファンド」が多数現れ、顧客獲得と自社利益追求のためにある情報を多角的に分析した結果、巨額を動かすようになりました。
その結果、全員が最適解を目指して行動することになり、選択に差が生まれづらくなりました。

では、一体どこで勝者と敗者の差が生まれるかというと、それは購入や売買の判断を誤ったかどうかだそうです。

今の時代は、インターネットがない時代と比べると、インサイダーでもない限り有用な情報に到達できるタイミングは大方揃っています。
なので、同じ情報を手に入れた時の多角的な分析で判断を誤ったものが敗者になるという事ですね。

これに加えて、長期間にわたって最善の選択をし続けられたとしても、その優秀な成績は結局手数料に喰われてしまってインデックスファンドの成績に近づいてしまうという事態に陥ります。

個人投資家はインデックスファンドでも敗者のゲームになりやすい

インデックスファンドを推していますが、こちらも判断を誤れば敗者のゲームになってしまうと書かれています。

  • 短期的な下落に耐えられず売ってしまうという愚行
  • 値上がりした他のファンドに乗り換えるという愚行

をしてしまいがちだからと言われています。

短期的な値下がりに焦って売ってしまうと更なる下落を招きますが、冷静な人はこの間に安く買い増すことで回復時に資産を増やす事ができます。
ファンドを乗り換えるという行為も、手数料を支払いますからマイナスサムゲームに参加する事になります。
※NGなファンド乗り換えは、値動きに釣られて頻繁に乗り換える行為です。将来性のあるセクターを見つけたら長期投資前提で振り替えるのは当然必要です。


総評

ここまで概要を書きましたが、かなり有用な情報だったのではないでしょうか。

長期の投資を行うとき、アクティブファンドよりインデックスファンド。いろんなYoutuberさんも紹介してくれているこの内容を、より具体的に理解する事ができます。

この本を読んで、私は国内アクティブファンドを解約しました。
(国内市場を信じていなかったので投資額は大したことなかったのですが・・・)

最も重要なことは、ここに書いた価値のある情報は「本書の第一部第一章のわずか5Pほどに書かれている内容」ということではないでしょうか。

我々のような投資初心者はFIREを目指すにあたり、「FIREの本ばかりを読むのではなく、こういった投資全体の原理などにも触れた本を読む」ということも非常に重要だと思います。

読み進めたのちに続きをかければと思います。

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