投資

投資初心者にありがちな「直線本能」による失敗

最近のコロナ経済により、体感経済の停滞感とは裏腹に世界の株価は絶好調で高騰しています。
背景には色んな事情があると言われていますが、最も言われているのは世界的な金融緩和による現金余りです。
余った現金が投資に大量流入しているというものです。

で、まぁビットコインとかもかなりの高音を更新してきています。

ここで問題になるのが、投資初心者が陥りがちな心理状態からくる判断ミスです。

私も以前はNISAではない口座で株式投資をしていたので、NISAを始めるにあたって自戒の念も込めて振り返っておきましょう。


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投資初心者が陥りがちな判断ミス

2日前に突っ込んだNISA口座のS&P500とひふみプラスを成績を見てみましょう。

含み損益で+445円です!すごい!たった1日で455円増えた!

となった時に考えるのは以下のようなことではないでしょうか。

SYA-CHIKU
SYA-CHIKU
1日で455円増えたか。

SYA-CHIKU
SYA-CHIKU
このままいけば30日後には13700円(455円*30日)増えるのか。

SYA-CHIKU
SYA-CHIKU
もっと大金を突っ込んだら30日にはもっと増えるな!!!!

この7万円に対して455円上がったという事実で、今後も「少なくとも同じ割合で増え続ける」と考えてしまうのです。

ここで初心者が考えるのは以下の2つです。

  • 今後も少なくとも455円ずつ増える
  • 追加で7万円を投入すれば14万円となり、1日に910円増える

この時問題になる行動が、当初の予定を無視してお金を投入してしまうというものです。
それは例えば、カードローンなどで借りてでも投入しようとしてしまいます。

なぜこのような行動が危険か

NISAによる投資は、時期の分散による積み立てであり、一気に巨額の資金を投入するものではありません。
ましてや投資初心者というのは、多くの場合が「資産運用」ではなく「資産形成」の段階にあるわけです。

つまり、手元現金的には余裕のない状態の人が多いと思います。

こういう時に目先の資産増加に目が眩んで無理筋の投資に走ってしまうと、痛い目を見ることになります。
具体的には、カードローンなどで借金をして投資信託に回してしまう。本来使ってはいけないお金(子供の学費や生活防衛費など)を回してしまうなどです。

そして、無理筋の投資は下落時に身を滅ぼす事につながりますから避けないといけません。特に仮想通貨などの異常な高騰状態にあるものについては注意が必要です。

「直線本能」により、同じように上昇すると勘違いする

なぜこのように「最低でも同じ割合で上がり続ける」と考えてしまうのでしょうか。
これは、ハンス・ロスリング教授の著書「ファクトフルネス」の言葉を借りれば人が持つ「直線本能」によるものだと私は考えています。
本の内容から例を紹介します。

地球の人口について

Q1:1900年に20億人だった地球の人口は、2017年に76億人を超えた。国連の予想では2100年の人口はどのようになっているか。
 ア:80億人、イ:110億人、ウ:130億人

Q2:現在、15才未満の子供は世界に20億人いる。国連の予想では2100年の15才未満の人口はどうなっているか。
 ア:20億人、イ:30億人、ウ:40億人

ちょっと考えてみてください。

 

 

 

 

 

どうでしょう?

 

 

 

 

答えです。

 

 

 

Q1について、117年で56億人増えた。同じ割合で増えるとすればウ:130億人となる。しかし、正解はイ:110億人となる。
Q2について、Q1では間違いなく人口は増えるわけだから子供の人口も増えそうな気がする。世界の人口が110億人または130億人に増えるわけだから、子供の人数も増えていかないといけないはずだ。だが正解はア:20億人となり、子供の人口は2100年でも変わらない。

これが直線本能そのものです。

つまり、ある事象が増加傾向にあるとわかった時、その増加率は今後も一定で推移するだろうと無意識のうちに前提づけてしまう考え方の事です。

これはまさしく先ほど言った「1日で455円増えたのだから30日後には増加している。増加率は一定なのだから先ほど書いた通りで

  • 今後も少なくとも455円ずつ増える
  • 追加で7万円を投入すれば14万円となり、1日に910円増える

という考えに至ってしまうというわけです。

増えるかもしれないが減るかもしれない

というわけで、投資初心者が陥りやすい心理としての直線本能を紹介しました。

直線本能自体は、別に投資に限った話ではないが同じように当てはめることができると思います。

際限なく増えるわけではないことを意識した上で、余裕資金があるときは積極的に突っ込んでも良いと思いますが、資産形成の段階では無理せずコツコツと投資を行なっていくことが重要です。

では。

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