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ウクライナ戦争はロシア対西側諸国の経済戦争に発展。オルカンは厳しくなるか?

SYA-CHIKU
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前回の記事で、SWIFT締め出しが実行されると、実行する側もとんでもないダメージを受けると書いたんだけど、急遽欧米が実行を決定したよ。

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ウクライナ戦争でインフレと株式市場はどうなる?

この記事の内容 ウクライナ戦争に対する想定誤り株式市場を中心とした経済の行方 当初予想されていた戦場 ...

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これによって世界的にロシアとは貿易ができなくなるから、ロシアの主要貿易先であるヨーロッパの各国はお互いの輸出入ができなくなるんだ。
そうなると、中期的にはオルカンはダメージを受ける可能性があるよ。

この記事の内容

  • SWIFT締め出しによるヨーロッパの影響
  • SWIFT締め出しによる米国の影響
  • オルカンは短期的には厳しい局面が来るが、長期的には買い場になるか
  • 積み立て投資家は淡々と買い増しを

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SWIFT締め出しとは

まず、SWIFT締め出しの影響についてかるくおさらいします。

例えば、日本の会社からロシアの会社に送金をする場合、ネットワークや通貨が異なるため直接の送金はできません。
そこでどうするかというと、以下の手順が踏まれます。

  • 日本の会社がUFJなどのメガバンクに送金
  • 日本のメガバンクからロシアのメガバンクに送金
  • ロシアのメガバンクからロシアの会社に送金

この一連の流れの中の「②」にあたる部分で通信に使用される仕組みをSWIFTといいます。

このSWIFTがつかえなくなると、対象の国との貿易ができなくなります。
送金ができなくなるので貿易の支払いが不可能になるためです。

SWIFT締め出しに対抗しようとしていたロシア

以前、ロシアは今回と同じような手法でウクライナからクリミア半島を併合しました。
この時もSWIFT締め出しなどの議論はあったようですが、その威力を知っていたロシアはSWIFTを締め出されても大丈夫なように独自の送金ネットワークを作ろうとしていました。

「金融メッセージ融通システム:System for Tranafer of Financial Messages」

と呼ばれる構想です。

しかし、このシステムの利用者は20カ国前後、400社にとどまっています。

対してSWIFTは200カ国、11,000社ですから文字通り桁違いの規模です。
金融メッセージ融通システムではSWIFT締め出しに対抗は不可能でしょう。

SWIFT締め出しを受けたイランはどうなった?

2012年のイラン核開発問題では米国からSWIFT締め出しの制裁を受けました。
この時、イランは産油国で輸出に頼っていたため、自国収入の1/3を失ったと言われています。

そして2015年に核開発をやめると合意したためSWIFTに再加入できました。

ヨーロッパがSWIFT締め出しに否定的だった理由

非常に明確で、「ロシアと貿易できなくなっては困る」からです。

ロシアの貿易相手は金額ベース45%がヨーロッパです。
逆を言えば、ヨーロッパの国々はかなりロシアからの輸入に頼っているという事になります。

ロシアが輸出する主な品目は、小麦・原油・天然ガスといった生活の基盤となる物資が大きな割合を占めています。
特にEU内のガスはロシアに50%近く依存しているため、これが無くなるととんでもない価格上昇が発生します。

実は既にイタリアでは昨年10月くらいからガス代が高騰しており前年同月比で30%近く上がっていました。
これはリベンジ消費需要の高まりとCO2関連費用の高騰が原因と言われています。
そして現在、SWIFTから締め出す前の時点でガス代はさらに高騰を続けて前年同月比で50%近く上昇しています。

こんな状況でEUの50%のガスが無くなれば、ガス代価格は壊滅的な上昇をする事になるでしょう。

原油についても同様です。

ガス代が暴騰した次に起こるのは原油の高騰、それにつられて電気代なども高騰するでしょう。

だからドイツはノルドストリーム2の停止に躊躇していましたし、ロシアを刺激しないために各国は武器の供与に消極的だったわけです。
自国の経済ダメージを優先していたという事ですね。

やっぱり他国の安全よりも自国の経済になっちゃうんだね・・・・
仕方ないけど、悲しいね。

マメ黒
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ロシア対西側諸国の経済戦争に発展した

SWIFT締め出しやノルドストリーム2の停止決定に合わせて、ヘルメットだけを送ってウクライナをドン引きさせていたドイツが、急にとんでもない量の兵器を供与することを発表しました。

そもそもドイツはWW2以降、兵器を輸出することを禁止していたわけですからかなり大きな転換点になっています。
加害者としての意識が強いドイツではこの決断は大きな意味を持つでしょう。
大袈裟に言えば日本が核武装するようなものです。

内容は対戦車砲1000門、スティンガー地対空ミサイル500門でした。
これはどちらも歩兵が持ち運びできる兵器で、歩兵がヘリコプターや低速の戦闘機を撃墜できる代物です。
似た内容でオランダも供与を発表しました。

同時にアメリカは500億円弱分の兵器供与を発表しました。

世論に負けての方針転換もあるでしょうが、逆を言えばここまで支援している状況でウクライナが敗北した場合、欧米(特に欧)は経済的に大ダメージを受ける事になります。

しかしそれは、勝ったとしても同等の経済的ダメージを受ける事になるでしょう。

変わるのは期間だと思います。

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ウクライナが勝利した場合

SWIFT締め出しが実行されれば、数年単位でロシアとの貿易ができなくなる可能性があります。

イランの例では3年間は復帰できませんでしたが、あれは核開発をやめると言った時点で解除されました。
しかし侵略戦争となれば話は別で、すみませんでしたでは済みませんから相当長い期間締め出される事になるのではないでしょうか。
特にアメリカからすれば、ここでロシアを徹底的に弱らせたい思惑もあるでしょう。

SYA-CHIKU
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ロシアとの貿易量はEU全体が50%、それに対してアメリカは5%前後だから影響は少ないんだね。

ウクライナが敗北した場合

これは難しいところですが、勝てば官軍ということでウクライナが悪者にでっち上げられてしまい、ロシアのSWIFT締め出しや経済制裁が早期に解除されるシナリオです。
大義がロシアに移ってしまうという事ですね。

こうなった場合はより深刻な事態になりかねません。
というのもロシア側から輸出制限をかけてくる可能性があるためです。

そうなると、かなり割高な燃料を仕入れないといけなくなるため、ただでさえ高騰している燃料代がさらに上がります。
対してロシアは好きなところで貿易ができますから、経済的にはかなり元気になってくるのではないでしょうか。
ヨーロッパへの影響はこちらの方が長期になると思われます。主導権がロシアにあるためです。


ウクライナ戦争は、ロシア対ウクライナの侵略戦争からロシア対西側諸国の経済戦争に連なっていく事になりました。

ちなみに日本ですが、実はヨーロッパ向けに天然ガスの備蓄を既に放出しています。
これはアメリカからの「EUのエネルギー事情やばいから助けてあげて」に応えた異例の対応です。
つまり、既に日本でもエネルギー不足が高まっていますからこの放出は拍車を掛けるでしょう。

勝っても負けてもオルカンは若干厳しい

先の理由から、ウクライナ戦争の結果に関わらずヨーロッパはさらなる燃料難に直面することが予想されます。

そうなるとヨーロッパの経済はインフレがさらに加速しますから、経済は大きく後退する事になりそうです。

例えばeMAXIS slim オルカンの構成は以下のようになっていました。12.8%がヨーロッパの地域です。

引用:https://fund.okasan-online.co.jp/okasan-online/fund/qsearch.exe?F=fundDetailAssets&KEY99=0331418A

ちなみに、SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:SBI・V・全世界株式)では欧州が16%、アジアが10%の比率です。

つまりどちらのファンドを買っていても15%前後の欧州株と6%前後の日本株が含まれています。

ここが一時的に大きく凹む可能性が高いです。
それはSWIFTをはじめとした制裁の影響というのもありますし、そもそもウクライナで戦争が起こったというのが根本にはあります。

そしてその凹みがどれくらい続くかはウクライナの勝ち負けによって変わると思いますが、負けた場合の方が長期的な影響を受ける事になりそうです。

短期的には凹みますが、中長期的には買い場となる可能性があります。
ただしその中長期というのが5年なのか10年なのかは勝敗と、負けた場合のロシアの報復によって変わるでしょう。

もちろんオルカンだけでなく、ヨーロッパにもっと比重を置いたファンドなどを買ってみるのも面白いかもしれません。
ただし、敗北した場合は手を出さない方が良いでしょう。
現時点では先行きもロシアの動向もわからないのでリスクの方が大きいです。

つまりこの状況でも最強の選択は「淡々と飼い続けていく」という事になります。
狼狽売りだけはしてはいけません。
欧州は勝敗に関わらず必ず復活します。

ただし、レバレッジを効かせた投資信託やETFは一旦ヨーロッパから切り替えておいた方が良いでしょう。
レバレッジは上下を繰り返す局面や、大きく下落する局面では不利な商品です。

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この状況でおすすめの領域は?

いくつかありますがオルカンの人向けにベターなのは米国株です。
オルカンにもアメリカは入っていますが、一旦ヨーロッパを外すイメージです。

ただし、無理にアメリカ株に切り替える必要はありません。
オルカンや欧州株を勝っている人は、売却はしなくて良いというのが前提であり、その割合を多少アメリカに振り向けてもよさそう。程度の話です。

勝利した場合でも敗北してしまった場合でも、アメリカからヨーロッパへの輸出が増えるでしょうから経済成長に拍車がかかるとみられます。

ただしアメリカでは金融引き締めが迫っていますのでここも短期的には注意が必要です。
しかし、実効経済に自信を深めている証なので金融引き締めによる下落には狼狽しなくていいと考えています。
ロシアとの貿易が少ないアメリカはSWIFTの制裁があろうが、ロシアが報復の輸出制限を行なってこようが独立して国が回ります。

例えば

  • S&P500(金融引き締めがあるのでNASDAQなどIT系はあまりお勧めできない)
  • バンガード米国エネルギー・セクターETF(Vanguard Energy ETF)【VDE
    エネルギー需要は依然高いし、ロシアに代わってヨーロッパに融通する可能性がある。

ウクライナ戦争の影響についてのお勧め領域は上記でしょう。

もちろん、既にオルカンや欧州株を投資をしている場合は引き続き継続投資が良いです。
余力があるなら短中期投資を前提にSP500やVDEに多少振り向けてみても良いでしょう。

個人的に長期的に着目しているのは、インド・ベトナム株ファンドです。

新興国株の中に入っている国ですが、中国がメインの新興国株よりもセクターを絞っています。
インド・ベトナムは急激な成長が見込まれていますから。長期的には非常に有望な国になると考えています。
ちなみに、20年後の経済の中心はインド・アフリカと言われています。

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