米国株投資家の間で大注目のFOMCの1月の会議の結果がでてきました。
会議後のインタビューでどのようなことを話されたのでしょうか。
この記事の内容
- 1月FOMCの概要
- 今後の株式市場見通し
前回FOMCの議題
前回のFOMCでは以下のような議題で会議が進められました。
- 想定より早期の利上げ、バランスシート早期縮小で一致
- オミクロン株の感染拡大が今後、経済活動の下ブレリスクに―委員間認識
- 一部委員、「インフレ圧力上昇への強いコミットメントが必要」と主張
こういった情報は議事録としてまとめられているので参照してみてください。
3週間遅れくらいで議事録が公開されます。
外部サイト:株式診断Web
前回時点で、利上げやバランスシートの縮小加速で一致していましたから、1月FOMCでは具体的な時期についての注目が集まっていました。
もっと具体的にいうと「3月FOMCで利上げ開始の発表をする」旨の告知があるのではないかと予想されていました。
なぜなら米経済は現在人手不足を主因とした異常なインフレ(7%前後)に苦しんでおり、この抑制が急務だからです。
背景にあるのは12月失業率が3.9%付近で完全雇用状態、12月のインフレ率が+7.0%と高止まりしていることです。
労働市場の正常化には成功したが、物価の安定が達成できていない点に注目が集まっています。
しかしながら、利上げやQTを行えば株式市場は混乱に陥りますから、FRBとしては市場を犠牲にインフレを抑制するか、インフレを容認して市場を維持するかの舵取りを迫られているということになります。
そして更に判断を困難にしているのは、
利上げやQTは確実に市場を混乱させるが、インフレが抑制できるかは不透明
という点でしょう。
そもそもFOMCは昨年の終盤まで「インフレは半導体不足を中心としたサプライチェーンの問題」という認識を堅持していたから、すでに後手に回っているんだよ。
生産性が向上していないのに給料が上がり、その給料が物価に転嫁される「悪いインフレ」に落ちいている状況だから一刻も早く落ち着かせなければならないわけだね。
金利上昇幅拡大必須。0.5%で4回来るか?
今、0金利政策を解除して3回の利上げを実施したところで、0.25*3(or4)で0.75%~1.0%にしかならないんだ。
金利とか回数とかではなくて、2022年12月のインフレ率が3.0%を上回る予想が出た時点から、長期金利を2.5%程度まで急上昇させると言い出したよ。
従来のFOMCの見解では2022年中は0.25%の利上げを3回実施すると示唆していましたが、これはもはや焼け石に水でしょう。
そこでFRBは2022年内のFOMC全ての回で追加利上げの可能性を示唆していました。
元々は3回程度の利上げだったものを、インフレ率の抑制状況に合わせてFOMC内で追加の利上げをおこなっていく攻めのスタンスを示していたことになります。
こう言った背景から、1月FOMCでは実施時期、ペース、利上げの%が注目されていて、それらに対する何らかの方針が打ち出されるだろうと市場は警戒していました。
1月FOMCどうだった?
議員さんたちの発言は概ね以下のような内容でした。
- 3月FOMCで利上げの条件は整うだろう
- テーパリングは予定通り終了し、その後6月頃から量的引き締めに掛かるだろう
- サプライチェーンの遅延は年内解消されない可能性がある(インフレ継続)
- 労働市場は需給がこれまで無いくらいに逼迫している(完全雇用状態)
これらの発言は、当初の想定通りであり概ね混乱はなく市場は受け入れていたようですが、「利上げは予定通り0.25%*3,4回だろう」と思っていた穏健派支持派の投資家には厳しい意見が出ました。
- 利上げのペーストタイミングは予測できない(積極的利上げの可能性)
- 利上げは労働市場を損なわないだろう
長期金利、上昇中
下の図をみてください。米10年債利回りのここ3年間の週足チャートです。
注目は2021/7以降、50週移動平均線をサポートラインとして下値を上げ続けている点です。
また、この図には現れていませんが200週移動平均線も上にブレイクアウトしました。
これらの兆候は、今後さらなる金利上昇を示唆しています。ちなみに、2014年と2019年に3%以上の金利を設定していますから、今後2.5%付近まで上がることはあり得ないことではありません。
ちょっと前は3%だったんだね。
コロナ禍から投資を始めた僕たちには全くわからない世界だけど、普通のことなんだね。
3%が普通ということはないんだけど、2%前後はこの10年は普通だったね。
今の低金利がおかしいんだよ。
10年間のチャートを参考に貼っておくね。
ほんとだ!コロナのタイミングで急降下したんだね!
ハイテク株は終わり、次に来るのは・・・?
これまでみてきたように、金利は更に上昇することが示唆されています。
株式市場は一段と混乱をきたすことは確実ですが、特に影響を受けやすいのはハイテク株です。
ハイテク株は1、2年後の利益ではなく数年先に巨額の利益をあげるようなモデルの業界です。そうなってくると、長期金利の上昇は「株式というハイリスク資産じゃなくても、国債という安全資産で稼げるじゃん」ということにつながり、ハイテク株の魅力が低下→株価下落につながっていってしまうんです。
つまりハイテク株が主流のナスダックは今後かなり厳しい局面を迎えることが予想されます。
では中期的にはどの分野が盛り上がってくるかというと、リベンジ消費で沸くエネルギー株や日用品のセクターだと考えています。
ポイントになるのは長期金利の恩恵を受けやすい、金利の影響があまり関係ない領域です。
例えば銀行株なんかはもろに金利の恩恵を受けるでしょうし、金利に関係のない日用品などであれば安定した需要からくるリスク回避が期待できそうだと思っています。
以下の3つを基本としたいと考えています。
バンガード米国金融セクターETF (VHF)
銀行系の株に投資したければこちら。長期金利上昇の恩恵をモロに受ける期待ができます。
バンガード米国エネルギーセクターETF(VDE)
前回も紹介した銘柄。
金利ではなく、コロナ禍後の需要からおすすめしている銘柄です。
バンガード生活必需品セクターETF (VDC)
好況・不況の影響をさほど受けない生活必需品ですが、金利上昇にもあまり影響はないでしょう。
金利に関係なく生活必需品は使われるものだからです。
S&P500一本の人はどうするといい?
ご主人もS&P500を捨てて他のセクターに行ったほうがいいんじゃないの!?
いや、少し違うんだ。いままでNISAでS&P500でやってきた人はそのまま積み立て続けたほうがいい。
むしろ今後の下落局面は長期的に見れば長い買い場になる可能性が高い。
積み立て投資を満額(40万か120万)やった後で、それでも余剰があれば課税枠では上記のセクターで短期的に利益を狙う。ということが有効だと思うよ。
前の記事にその辺をよく書いてあるからぜひ見てほしい。
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